あかるいしゃかい 3
久しぶりに雨がやんだので、研究室に行った。寂しいことに、相変わらず、キャンパスに学生の姿はなかった。書斎から研究室に移すものと研究室から書斎に持ち帰るものに加えて、今日は、研究室の断捨離をすることが大きな目的だった。ちょうど1週間目の晴れ間を利用して研究室に行き、事務員の皆さんに「また来ます」と言ったのに、「また来る」ことはできなかった。何しろこの1週間、雨が降り続いたのだ。75周年のという大きな節目の「慰霊の日」ですら沖縄に出向かずにビデオメッセージで済ませた安倍総理がわざわざ熊本県を訪れて巨額の予算措置まで講じた今年の大雨。いやぁ、本当によく降るものだ。
『あかるいしゃかい』の3回目として、この教科書の第10講「おおみず」を紹介しよう。教科書には次のような本文がある。
あめが ふり つづきました。川の 水が ぐんぐん ふえて きました。はんしょうが なって、おとうさんも にいさんも、みのを きて、かけだして いきました。
この後、村中総出で土嚢を積む様子や土手が切れないで良かったことが書かれた後、川下では橋が流されたこと、その後の台風で田んぼや家が流されたことが書かれた最後に、「しんだ人も たくさん いるそうです。ぼくは、かわいそうで なりません。みんなで そうだんして、おみまいを あげることに しました。」と結ばれている。
そして「もんだい」。(漢字まじりに書き換え)
1 あなたのうちの近くに川が流れていますか。その川はどこから流れてくるのですか。どこへ流れていくのですか。
2 あなたは大水にあったことがありますか。うちの人や近所の人に大水の話を聞いてきて、みんなで話し合いましょう。
3 どうしたら大水が来てもそれを防ぐことができるか、お父さんやお母さんに聞いてみましょう。
4 大水が出たときのお見舞いには、どんな品物がいいでしょう。
今から63年前の小学校2年生にとって大水は「50年に一度の災害」ではなく、身近な出来事だったことが分かるし、みんなでそれを乗り越えていくこともできることが書かれている。実は、何年生の教科書か確認できないが、大津波についても勉強した記憶がある。大きな地震の後には大きな津波の来る可能性があること、津波は一度ではなく二度三度繰り返して襲ってくること、だから、すぐに山のような高いところに避難すること、を学んだ。だから、2011年の大地震の時にたまたま旅行で東京にいた下の娘に電話をかけてまっ先に言った「津波が来るから、すぐにビルの上の方に上がれ!」は、この小学生のときの勉強が蘇ったのかもしれない。
その後電話が繋がらなくなった彼女は、翌日のお昼前に新幹線で帰ってきて、うちでランチを食べた。