あかるいしゃかい 2

新型コロナウイルス対策でいまだにPCR検査について侃侃諤諤やっているが、新型コロナを疑う症状が出ているのに保健所に電話をかけても全然つながらず、結局PCR検査を受けることができないまま2ヶ月以上経過した知人がいる。今も重篤な状況には陥っていないので「結果オーライ」だったのかもしれないが、PCR検査数はいつまで経っても首相が公言したほど増加したとは思えないので、保健所のパンク状態は解消していないのだろう。食中毒の報道で保健所という名前を聞くことがあるが、PCR検査も保健所の仕事のうちとは知らなかった。学生時代にEVE(同志社大学では学園祭をこう呼ぶ)で飲食関連の出店をする際に検便をしてもらう機関くらいのイメージしかない保健所は、本来どういう任務を担っている役所なのか、大きな「?」が湧いた。実は、前回紹介した『あかるいしゃかい』に「五 ほけんふさん」という単元があって、次のように書かれている。

とみじさんは、かぜを ひいて、ひとりで ねています。・・・めを さますと、ほけんふの やまださんが、じてんしゃを どまに いれて いました。・・・「たんぼで おかあさんに きいて きたの。はやく なおらないと、てつだいが できないわね。」・・・やまださんは、とみじさんの からだの ようすを みました。「ねつは、たいした ことは ないようね。」やまださんは、てぬぐいを ぬらして、とみじさんの あたまを ひやして くれました。

保健婦さんはお医者さんか看護婦さんの印象。「問題」には、「保健所をみたことがありますか。どこでみましたか」「保健所はどんなことをするところですか」「保健婦さんはどんなことをする人ですか」「病気になったとき、あなたはどうしたらいいと思いますか」「梅雨時になったら、あなたはどんなことに気をつけますか」「伝染病には、どんな病気がありますか」「あなたのうちや近所に、伝染病にかかった人がいますか。その人はなぜかかったのか考えてみましょう」「伝染病にかからないようにするには、どうしたらいいでしょうか。みんなで話し合ってみてください」といった問いかけが並んでいる。(ひらかなを感じカナ混じりに変えた。)これは小学校2年生の教科書である。「自分で考えて、みんなで話し合うことの大切さ」が一貫しているのにはびっくりさせられる、

厚生労働大臣が受診や相談の基準を「我々から見ると国民の誤解だ」と言ったり、経済再生大臣が専門家会議のメンバーに伝える前に記者会見で廃止を公表したり、総理大臣の全ての言葉が国民の心に届かないのは、ひょっとしたら我々が「自分で考えて、みんなで話し合うことの大切さ」をすっかり忘れてしまっているからではないだろうか。

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