プーチンのウクライナ侵攻 2

前回のブログから5日経ったが、プーチンのウクライナ侵攻は先が見えないまま。TVの現地報道を見ても、どちらが優勢なのか判断できない。CNNやBBCも同様。目に飛び込んでくるのは、ただただ砲撃の音、破壊された街並み、避難するウクライナ国民の様子など。ロシア軍が一方的にウクライナを攻撃している印象が強いのは、ウクライナ側に立って援軍になろうとする国が存在しないからだろう。

もちろん、武力で対抗すれば第三次世界大戦に突入しかねないという危険な構図が見えていることは理解しているのだが、経済制裁の足並みがどれほど揃えることができてロシアに甚大なダメージを与えることができるのか、が見えないところに、クエートに侵攻したイラクに対するアライアンス(多国籍連合軍)の反撃のような明快さを感じることのできないもどかしさの根源がある。

経済制裁についての日本の態度(=制裁の内容、予想されるロシアのダメージのレベル等)がよく見えないのももどかしい。日本語固有の構造的欠陥だろうと思うが、岸田総理の答弁や記者会見での説明を聞いていても、制裁するのかしないのか、よくわからない。時間をかけて他の国々の動向を見ながら程々のところで決めたい、と思っているのではないかと勘繰ってしまう。

この煮え切らない日本の態度がエスニックジョークで笑い物にされているのは周知の事実。有名な「沈没船ジョーク」は日本人気質を見事に物笑いにしている。多分ご存じだと思うが、沈没しかかっている船の船長が乗客に速やかな待避を呼びかける際、国籍によって声のかけ方が違っているのだ。 
アメリカ人には「飛び込めばあなたはヒーローになれますよ」
イギリス人には「飛び込めばあなたはジェントルマンになれますよ」
ドイツ人には「飛び込むのがルールです」
イタリア人には「飛び込めば女性にもてますよ」
フランス人には「飛び込まないでください」

そして、日本人には「みなさん飛び込んでますよ」

様子見しているうちに、日本人や日本国のとった行動は見事に埋もれてしまって、誰の記憶にも残らない。

今取るべき方策の一つは、予算委員会でも総理の記者会見でも質問された、プーチンと個人的親交が深い安倍晋三元総理を特使としてモスクワに派遣するというアイデアではないかと思う。5日前に引用したデジタルフライデーの記事にも次のように書かれていた。

「この『酷い戦争』を始めたプーチン大統領と安倍晋三元首相は、「ウラジーミル」「シンゾー」と呼び合う親密な仲であった。 ・・・安倍元首相は自身の政権下でなんと11回訪露し、プーチン大統領とは計27回の首脳会談を行っている。『ロシアがウクライナ国境に軍隊を集結させていた昨年末から、安倍元首相に対し、この緊張時に政治的役割を果たすべきという期待がありました。が、なにもできなかった。 やったことといえば、自身の派閥会合で、岸田首相がプーチン大統領と会談することになる。日本の立場を説明し、この事態が平和裏に解決される努力をしなければならないと、他人事のように注文するだけでした』(安倍周辺議員) ・・・『首相という立場ではないのだから関係ないね』といわんばかりの対応に、党内でも失望が広がった。政権を去ったあとも、世界平和に尽くすため外交特使として老骨にむち打ったカーター元米大統領らとはほど遠い・・・しかも、この安倍発言があった時点で、日露首脳電話会談はまだ『調整中』だった。つまり、公表前の『外交機密』を漏洩してしまった安倍元首相。顰蹙を買ったのはいうまでもない。」

良好な関係の時期にお膳立てされた外交をするのは誰にとっても容易いことだろう。困難な時期に身を挺して平和社会の構築に貢献することこそが政治家の責務であって、「外交の誰々」といった肩書きをつけてもらえるのは、本来、そういった努力を惜しまない政治家に限られるだろう。しかし、名折れの晋三はマレーシアに行くらしい。