新型コロナウイルス禍の大学生諸君へのエール 5 改題 本を読もう!
若い人たちは抵抗感なく海外のニュースにアクセスできる。羨ましい限りだ。我々の時代は、海外のニュースを聞くためには短波放送を聞くしかなかった。雑音のうねりの中に紛れ込んでいる外国語を求めて、ラジオのチューナーを少しずつ動かしながら、海外との接点を探したものだった。
しかし、今はネットラジオがいとも簡単にチューニングしてくれる。私は、イギリス滞在中に「Classic FM」というラジオ局を聞くことが多かった。帰国後、たまたま勧誘に訪れたUSENのプログラムを見ていると、海外ラジオの中にその「Classic FM」」を見つけたので、すぐさま契約して聴き始めた。交通情報や天気予報をイギリス英語で聴いていると、まだイギリスに住んでいるかのような気がして実にcomfortableだった。
ロンドン近郊の天気予報や交通情報を聞いても役に立たないが、俳優のJohn Edward Thawが亡くなったというニュースが流れてきたときは、USENを契約していてよかった、と思った。日本での知名度は低いが、彼は “Inspector Morse” (主任警部モース)という人気TVドラマの主人公を演じて、イギリスでは絶大な人気を誇っていた。このドラマは、「Spitting Image」と並んで私のお気に入りTV番組だったのだ。しかし、いつの間にか「Classic FM」はUSNの番組表から姿を消してしまった。
ところが、昨年末、長く使っていたらくらくホンをiPhoneに変えたら、再びその「Classic FM」が聴けるようになった。「Classic FM」の入っているネットラジオのアプリが見つかったのだ。耳が遠くなってきたので骨伝導のヘッドホンを購入し、大学への行き帰りに聞いている。実にcomfortableである。iPadはまだしも、iPhoneのように小さな画面の文字は老眼には厳しいだろうと思い込んでいたが、そんなことはなく、普通に読めるではないか。こんなことなら、もっと早くスマホにすればよかったと、後悔した。
で、comfortableな気分で行き帰りのJRで私の周りの人たちの様子を見ていると、(高校生、大学生、社会人の区別なく)大半の若い人たちがスマホでゲームに夢中になっていることに気がついた。もちろん映像や活字を見ている人たちもいなくはない。しかし、大半の若い人たちはスマホで暇つぶしをしている。
なんともったいない。本を読もうではないか。ということで、今回は、昔、学生諸君に読書を勧めた小文を再掲する。1999年12月と、2011年春。