GOTOトラベル一斉一時停止の怪

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないためか、GOTOトラベル事業の全国一斉一時停止が発表された。この事業は「ゴートゥー・トラベル」ではなく「ゴートー(強盗)トラベル」だと揶揄された当初からずっと「トラベル」ならぬ「トラブル」を抱えていた。旅行代金の半額が割引されるのだと思っていたら、スタート時点ではそうではなかった。7月22日のスタート時点では旅行代金の35%を割引くだけで、ようやく10月1日から15%相当分の旅行先で使える地域共通クーポン付与が追加されて割引が50%になったのだ。東京はスタート時点では除外されたが10月には対象となった。そして、新型コロナウイルスの第三波の山が高くなると、65歳以上の高齢者らに利用自粛が呼びかけたものの、分科会の警告には耳を貸さないまま、突然、年末年始の全面的な一時停止が決まった。

平気で一斉一時停止のような意思決定をする人たちは、このことによって迷惑を被る人たちが多勢いることに気配りしないのだろうか。今日のTVでインタビューに答えている旅館の女将さんたちのため息は想定外だったのだろうか。

しかも、「キャンセル料は無料にします」とか「キャンセルの補填は35%ではなく50%です」とか「利用者や業者ではなく国が負担します」と言っているが、負担するのは本当に国なのか?違うでしょう。「国民が税金で負担」しているのに、あたかも負担しているのは国民ではなく国であるかのように言っている。

補填される人たちはいいとしても、今、現実にキャンセル対応に追われている旅行会社の人件費その他の諸経費は補填されることはない。

まったく冗談じゃない!国民の税金を自分たちのお金のように好き勝手に使う権限があると考えるのは政治家の傲慢以外の何者でもない。アベノマスクのブーイングを忘れてしまったのか?新型コロナウイルス対策と言えば予算はいくらでも膨らませることができるという「ごまかし」は国民に対する詐欺だろう。

それも、「ガースーです」で始まったネットテレビでのインタビューで「分科会がGo To停止を求めていることについて問われた際に『それは考えていない』と明言して何日も立たないうちに一斉停止を発表する根拠は何なのか、まったく説明しないまま。失政は失政、自分たちの非を認めた上で新しい方針を示し、その根拠について国民に説明するのがスジだろう。

民間企業を見ればいい。経営上の失敗で会社に損害を加えたら、経営者は連帯して責任を負う。積極的に賛成しなくても取締役会で反対意見を言わなかった人たちは連帯責任を負って個人のお金で損失を補填するのだ。それなのに、内閣の構成員(各大臣)はどうして個人で損失を補填しないのだろう。もしも個人で負担しなければならないとしたら、反対意見を持っている大臣は黙っていないはず。

このところのガースーの「勘違い」発言があまりにも目障りなので、ついつい愚痴ってしまった。国民を騙すのはもういい加減にしてほしい!