東京オリンピック、やる?
京田辺キャンパスで専門科目に飢えていた1・2回生諸君向けに監査論の入門編と位置付けた「社会と監査」の第1回目(2008年春学期)のスライドを何枚か紹介しよう。下のスライドを見て、安倍晋三と福田康夫以外の政治家のことを覚えている人がどれだけいることだろう?
では、下のスライドはどうだろう?「狂牛病」についての情報が寄せられていたにもかかわらず、担当者がそのFAXを読んでいなかったために水際で侵入を阻止することができなかったことは思い出せても、「告発って、何?」とか「何を隠蔽したの?」とか、ピンとこないに違いない。
では、上のスライドはどうだろう?「どの資金をどのように流用したのか?」「どのような官製談合があったのか?」実は、このスライドを作った私自身、思い出せないのだ。
次のスライドに至っては、当の社会保険庁が姿を消して新しい組織が作られたにもかかわらず同じようなことを繰り返していることは知っているものの、安倍晋三が「最後のお一人までお支払いします」と言っていたことは実現したのかどうか、大多数の日本人の脳裏にはないも残っていないことだろう。
これらのスライドに共通している四文字熟語がある。「職務怠慢」「実態隠蔽」「組織腐敗」・・・
この1年以上のコロナ禍のドタバタ騒ぎを見ていると、日本の政治と官公庁の制度疲労の劣化の加速を実感する。「国民の安全安心が第一」を繰り返す首相は、ワクチン接種をなんと「1日100万回」というハイレベルで公言したが、これが開会まで2ヶ月を切った東京オリンピックをなんとしても開催するための最後の希望の灯火だということくらい、お見通し。
「1日100万回接種」を達成するために、しゃにむにワクチン接種の担い手を医者・看護師から歯科医師に拡大したのはまだしも、救命救急士・臨床検査技師・放射線技師・薬剤師にまで広げるとなると、この国の医療というのは一体何なんだ、という大きな疑問が湧いてくる。
注射を打つという行為に絞れば、私の経験上、獣医さんは実にうまく狂犬病の注射を打ってくれる。注射が大嫌いなうちの犬たちの気をそらしながらうまくお尻に打ち込んでくれたよな、と家内に冗談まじりに言ったら、「獣医さんは農林水産省の管轄やから、縦割りでダメやね」と一蹴された。オリンピックは無理だよなぁ。