東京オリンピック、やる!

菅政権は、どんなことがあろうとも、東京オリンピックを中止・延期するつもりはないらしい。

中学三年生の東京修学旅行が東京オリンピックの時期とぴったりかぶってしまい、おまけにもしも抽選に当たっていたらどれかの競技を会場で見ることができたにもかかわらず外れてしまったために富士五湖巡りなどをしていた記憶のある身としては、東京オリンピックといわれてすぐに思い出せるのは古関裕而の東京オリピックマーチくらいしかなく、今回の東京オリンピックにもそれほど思い入れはなくて、やってもやらなくてもどっちでもええやんというのが正直なところなのだが、日本国民の感情を逆撫でするようなIOCの連中の言動に反発を覚えつつ、菅義偉の「責任は私にあります」と言いつつも全く責任を取る気のないことが見え見えの記者会見をニュースで見ていると、聴き慣れない「二正面作戦」などという言葉が出てきた。

そもそもこの政権は「じんりゅう」などという全く聞き覚えのない言葉を「人出」に置き換えるものだから、この「二正面作戦」も創作日本語かと思いつつネット検索したら、これはちゃんと出てきた。しかし、噴飯物なのは、WIKIに「二正面作戦(にしょうめんさくせん、two-front war)とは、戦線を構築する段階において連続していない複数の戦線を保持しなければならない状態をさす。その複数の戦線は途絶しているためお互いの連携の可能性は望めない状況である。」などと説明されているではないか。「連携の可能性は望めない状況」を表す不吉な言葉をどうしてわざわざ使うのか、取り巻きを含めて頭が悪いんだなぁと、つくづく呆れるのを通り越して哀れに思ってしまう。(これは菅義偉を哀れに思っているのではなく、我々日本人自身を哀れに思っているのである。)

沈思黙考するまでもなく、オリンピックで多数の外国人が日本を訪れることによって日本のコロナ禍のレベルがひどくなるというよりも、ワクチンが行き渡ってマスクも不要になった外国人がわざわざリスクの高い日本を訪れるのだろうか、ということの方が事実に近いだろうに、その現状に菅義偉と取り巻きが気づいていないことの方がやばい。いつまでも去年のような「小波」ではなく、現状は決して「笑笑」状況ではないのだ。

それでも「東京オリンピックを中止・延期しなければならない現状ではない」と言い切る神経の持ち主の菅義偉。「東京オリンピックの開催と日本国民の安心安全のどちらが大切ですか?」と尋ねられたら、嘘でもいいから「日本国民の安心安全に決まっているではないですか」と切り返せばいいのに、それができない菅義偉。彼が今の日本の総理大臣なのだ。記者会見の際に菅義偉首相に深々と首を垂れる人たちは、心底敬愛の念を込めて首を垂れているのだろうか。私の頭の中は毎回「?」が渦巻いている。

太平洋戦争に突き進んだのは日本社会が戦前の体制だったからだと納得していた戦後育ちの私たちにとって、このような菅義偉首相をどうすることもできない現状を目の当たりにして、太平洋戦争に突き進んだのは戦前の体制だったからではなく、日本の国家体制だったからに他ならない、つまり戦前も戦後も違いはないのだということを思い知らされている今日この頃、私のところに昨日ワクチン接種券が届いた。

ワクチンの接種が切り札だという菅義偉のいう通りにワクチンを打っても大丈夫なのだろうか?