信頼できるということ

上のスキャン文書は、イギリス滞在中に口座を持っていたHSBCのレディング支店から届いた計算書の一部である。2020年4月8日に繰り越した普通預金残高が4ペンスあったが、その4ペンスを2021年3月31日にOXFAMに振り替えたので残高はゼロになり、口座を閉じた、ということを示している。

1983年に初めてイギリスに留学した時、半年分の生活費を三和銀行の個人小切手で持って行き、三和銀行が紹介状を書いてくれたハムステッドヒース近くのミッドランド銀行の支店に当座預金口座を開設して、入金した。当時のイギリスでは個人小切手を持っていないと極めて不便だったので、このミッドランド銀行の口座は非常に役に立った。

7年後の1990年には大学の在外研究制度を使って長期留学をする心算だったので(その理由については、追って書くこととする)、預金口座を閉じないで住所変更したら、その後は定期的に計算書が送られてくることとなった。(当座預金なので通帳はない)

1990年にはレディング大学のマンスフィールド学寮に住むことになったので、ベルサイズパーク支店からレディング支店に口座を移し、2年間の滞在中、便利に使った。帰国時は、またイギリスに行くこともあろうかと、大半をHICA(直訳すると「高利率小切手口座」)に移して、当座預金と二つの口座をそのまま保有することにした。

その後、イギリスの郵趣会やCAMRA(パブの樽詰め生ビールを守る会=これについても改めて書こう)の会費の引き落とし口座や旅行時の現金引き出し口座として便利に使ったが、2000年を最後にイギリスに行くことがなくなり、自動引き落とし以外に出し入れすることがなくなったので、HSBCの勧めで口座を解約することにした。

みずほ銀行に送金されたので、これで終わったと思っていたら、しばらくすると再び計算書が送られてくるではないか。残高は4ペンス。向こうの勧めで解約したのに、解約時に未払い利息が発生していたのだろう。

ほっておこうかとも思ったのだが、たった4ペンスのために郵便料金を負担させるのは忍びないと思い、解約の経緯について説明するとともに、残高はOXFAM(イギリスの慈善団体)にでも寄付してほしい、と書いた手紙を送ったら、この計算書が送られてきたのだ。きっちりOXFAMに振り替えられているのを見て、ちょっと微笑みつつ、私はふと、レディングから帰国する前にBT(イギリス電電会社)で電話の解約をした時のことを思い出した。

電話を引いてもらう際に保証金を納めたのだが、解約した際には、その保証金に2年分の利息がついて戻ってきたのだ。なんときっちりしていることか!対照的に、思い出すのも腹が立つが、NTTは電話加入権をチャラにした。私はこんな理不尽なことがどうして許されたのか今でも納得していないが、BTとNTTの違いを思い出すたびに、この国の政権が繰り返し「徳政令」を発出してきた歴史を心に刻むことにしている。

 

 

前の記事

本を読もう! 4