「次世代住宅ポイント」の怪

2月に自宅のリフォームをしたら、居間とダイニングの窓枠とガラスを断熱仕様に交換したおまけとして「次世代住宅ポイント」なるものが付与された。10万ポイントつまり10万円分が何かの商品と交換できるという一昔前の「エコポイント」と同じシステムである。

どのようなものと交換できるのか調べてみると、交換のためのHPが複数共存していることがわかった。それぞれ交換商品もたくさんある。しつこいようだが「毎日が日曜日」なのであちこち見て回った。しばらくネットサーフィン(懐かしい言葉!)していると妙なことに気がついた。交換比率が良くないのである。1ポイントが1円ではない。さらに、同じ商品でもHPによって必要ポイントが違っている。一例を挙げると、マキタのインバーター発電機が次世代住宅ポイントのHPでは30万5千ポイントで交換と載っているが、同じものがアマゾンでは17万9千円で買え、ヨドバシでは14万1千円で買える。一番安い業者のHPでは13万2千円で販売されているのである。アルコールは公定価格かと思ったら、楽天市場で4699円で売られているアサヒのスーパードライ(350ミリ24本)が次世代住宅ポイントでは7千ポイントとなっている。次世代住宅ポイントの交換比率の悪いこと!

ふるさと納税の返礼品に原価率30%の制約が付いているということは知っているが、この次世代住宅ポイントにそのような制約があるとはどこにも書いてない。もしも交換率が自由に設定できるのだとすると、この制度で商品を提供することを認められた業者は、場合によっては「濡れ手で粟」のもうけを手にすることができることになる。そんなことが許されるのか?

この次世代住宅ポイント制度には1300億円の予算が組まれたそうだが、交換率のカラクリで400〜600億円が消えてしまう勘定になる。その消えた分を手にしているのは誰なのか?商品を提供している業者?ポータルサイトを運営している会社?いずれにせよ、交付されるポイントの一部がが額面通りに通用するのではないことは明らかであり、この制度に群がる人たちの誰かを潤しているのではないか、とふと思ったのである。

4月30日に細立した補正予算の議論では10万円を配ることに注目が集まっていたが、「お魚券」や「お肉券」は消えたものの「Go to キャンペーン」が残ったことに注目し続ける必要があると感じた。