社会と監査 第13回 今年度の講義は、今日で打ち切り

「もりかけさくら」をめぐる公文書の隠蔽・改竄・破棄もひどかったけれど、年明けの新聞で報じられた「国交省の統計不正」問題にはほとほと呆れ果てています。以前にも「統計不正」は問題になりましたが、たとえなんらかの悪意が働いていなかったとしても、統計データの数字が信じられないというのは、国家にとって決定的に由々しき問題なのです。

たとえば、厚生労働省が同じように毎日発表されている新型コロナの感染者数の統計データに手を加えているとしたら、今、日本全国で起こっている社会現象が本当に本当のことなのか、それともでっち上げられた作り話なのかが判然としなくなるわけです。緊急事態宣言の発出(こんな言葉、誰が使い始めたのだ?)根拠も、人流の抑制(この言葉も誰が使い始めたのだ?)根拠も、政府の思うままに示すことができることになります。一部で疑問が出されている「予防接種で重篤な副反応が出ているのかいないのか」という問題も、そのデータそのものに疑問符がつくことになります。

「監査をする、しない」以前の重大な問題です。このところ、私が『会計監査本質論』を書こうと思った動機をはるかに超越したとんでもないレベルの重大な問題が次から次へと明らかになっています。

講義は今日を含めて3回残っているのですが、悠長に講義をしている場合ではありません。受講生諸君は、今この日本で実際に起こっている出来事について、新聞各紙をできる限り読んで、「日本という国を信じることができるのか、それともできないのか」ということについて、具体的に自分の考えをまとめてください。そのための自学自習の時間に充てるため、今回で今年度の「社会と監査」の講義を終了します。