国会の代表質問を聴きながら

ようやく国会が始まった。日本の国会はどうして開かれないのだろう。どうして代表質問のような形式的な質問と答弁を行うのだろう。イギリスの丁々発止の国会論戦を「楽しく」見聞きした経験を持つ私は、日本の国会での論戦と記者会見には隔靴掻痒のイジイジした遣る瀬無さを感じてきている。今聴いている「山口みっちゃん」(こんな風に書きたくはないが、選挙カーの上の山口代表に「みっちゃ〜ん」と女性が声をかけるので、ついつい・・・)の質問も、何の緊張感もない。首相の答弁もそうだろうなぁと思いながら、このブログを書いている。

日本国憲法第五十三条は「内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。」 と定めているにも関わらず、「いつまでに招集しなければならないかが決まっていないので、ほったらかしても憲法違反にはならない」などと強弁して招集しないで済ませてきていることについて、どうしてこのようなことがまかり通るのか、私はずっと不満に思ってきている。

裁判所の怠慢だろうと思いつつも、何も調べないでいるのは私の怠慢だろうと思い、NHKの生中継を聴きながらググってみたら、すぐに判決文が見つかった。「平成29年6月22日,内閣に対し,憲法53条後段に基づき,衆議院及び参議院の 臨時会の召集を要求したところ,それから98日が経過した同年9月28日 まで臨時会が召集されなかったことにつき,内閣は合理的な期間内に臨時会 を召集するべき義務があるのにこれを怠ったものであり・・・」で始まる判決文、長い長い文章を読み進めていくと、判決文の論理展開がよくわからないのだが、27ページ目の最後に「⑹ したがって,本件召集要求に対し,安倍内閣が行った臨時会の召集(本 件召集)は,これが冒頭解散により実質的には召集されていないか,ある いは憲法上認められる合理的期間を徒過したものであるとして,違憲かどうかを判断するまでもなく,原告らの国賠法1条1項に基づく損害賠償請 求は理由がない。」との締めくくりに行き着いた。

「違憲かどうかを判断するまでもなく」なんて、え?門前払いかいな、と思いつつ読んだそのあとのページの結論には「第4 結論 よって,原告らの請求は理由がないからいずれも棄却することとして,主 文のとおり判決する。」と書かれていたので、1ページ目に戻ったら「主 文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。」と書いてあった。

判決文を読んで、改めて裁判所に問題があるように感じた次第。(関心のある向きは次のHPを参照してください。)(https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/566/089566_hanrei.pdf)

で、国会が開かれていないときに国会議員は何をしているのだろうか?もう少し正確にいえば、どのような仕事をしているのか?

文書通信交通滞在費(これを「文通費」と略すマスコミの神経に違和感を覚える。例の「マンボウ」同様、略すことによって何か別のものになってしまうような気がする。そういえば、自ら「マンボウ」と呼んだあの人、え〜っと、名前が出てこない・・・あ、尾身さんがテレビに出てこなくなったが、どうして?)を巡って、自公政権と野党とが珍しく際立った見解の違いを見せている。

文書通信交通滞在費は「費用」なのだから、目的にかなった領収証の分だけ費用補償をするのが筋というものだ。もしも「日割り計算」で済まそうとしている自公政権の主張を認めることになってしまったら、我々民間も同様の扱いにするべきだろう。具体的には、税金の申告をするときに領収証を示すことなく費用の計上をしようではないか。文書費も通信費も交通費も滞在費も、領収証は必ず入手できるにも関わらず、国会議員にだけ領収証が必要ないなどという主張にはなんら根拠はない。

ニッポニカによれば、「2001年(平成13)、衆議院議長から諮問を受けた有識者による『衆議院改革に関する調査会』は文書通信交通滞在費について、領収書を添付した使途報告書を公開すべきだとの答申をまとめたが、2015年3月時点で実現していない。」とのこと。「立法事務費」も、立法の事務に携わらなかったら返金するのは当然。議員立法なんかほとんどない日本で「立法事務費」が必要なはずがない。

国民の納めた税金の使途を決める権限を有しその責任を負っている国会議員は、自らも納税者であることをはっきりと自覚して初めて国民のための政治ができるというもの。

今日の国会は、まだ続いている。