明日は総選挙

明日、久しぶりに総選挙か行われるというのに、私(および私の家族)の間では全く盛り上がらない。TVで若い人たちが「政治のことは難しくてわかりません」というのを聞くたびに、この国の将来はどうなるのだろうと、暗澹たる気持ちになるのだ。

私の若かった頃、つまり大学に入ろうとしていた頃、政治に関する問題は大学生にとって最重要項目だった。高校の部活で「社研」が幅をきかせていたものの、「社研は危ないよね」という考え方もあった。まさに端境期だった。

私は授業でよく「私は東大の入試が中止になった年に同大に入学しました。トーダイの入試がなかったのでドーダイに来たわけだけど、同大の方が店が点が二つ多い!」とよく言ったものだったが、入学した1969年に東大の入試がなかったのは、東大医学部の研修医制度をめぐる処分問題と日大の古田会頭の使途不明金問題がきっかけになっていた。

二つとも関西の大学生には関係のない話だったにもかかわらず、大学紛争は京都に飛び火した。市電はひっくり返され、交番は火炎瓶で炎上し、フランスデモで今出川も烏丸も学生で埋め尽くされた。

この大学紛争が一段落した後、大学紛争の火種は個別大学の「学費値上げ」に移ったが、値上げが自分たちよりも下の学年から適用されるにもかかわらず、在学生は全学バリケードストライキで大学当局の値上げ提案に反対した。学費の値上げが大学生の自由な研究環境を破壊するとの危機感から、とにかく大学の提案には反対したものだった。このような大学紛争の火種は、やがて風前の灯となり、やがてすっかり消えてしまった。

大学に入ったばかりの私たちにはこのような将来の状況を予想することは全くできなかったが、同志社の誇りとも言うべき筒井康隆は『90年安保の全学連』で既に1969年(私の入学した年)に全学連の行く末を予言していた、すごい!。

この当時の大学生の政治に関する関心の高さを今に伝えることは私にはできないが、それでも、今の大学生諸君には選挙に関心を持ってほしい。関心を持って、自分の判断で支持政党を見つけ出し、そこに投票することは、大学生諸君の人生の行く末を豊かにするためにために欠くことのできない行為なのである。

明日は総選挙。選挙の前の講義で、私は必ず次のように言ったものだった。「必ず選挙に行きなさい。棄権すると政治家は国民を甘く見るけれど、たとえ誰であろうと、誰かに投票して投票率を上げれば、政治家は国民を甘く見て済ますことなどできなくなるはず。投票に行きなさい。もしも投票する候補者がいなければ、『百合野正博』と書いていい。とにかく投票率を上げることによって、この国を政治家と称する輩に好き勝手にさせない!(これに似た文言が百合野の監査論に出てきたけれど、覚えている?)という意思表示をしないと、えらいことになるよ」

「若者よ選挙に行くな 2021」という動画があったので、参考までにリンクを貼っておく。

 

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