東京オリンピック、やっぱりやるんだね
23日に開会式が行われる東京オリンピック、ここにきてもなおトラブルが連続して発生している。
細かいことをここで羅列するのは生産的ではないのでやめておく。招致が決まった瞬間から気になってきていることを、備忘のために書いておこう。それぞれが日本の明るくない将来を見せつけているようで、非常に気分が良くない。
そもそも、安倍晋三が世界に向かって宣言した「復興五輪」と「福島の現状はアンダー・コントロール」が、両方とも実態から乖離していることは日本人の誰もが知っていること。昨日だったか、韓国選手団は汚染された日本の食物を食べないと言ってJOCと揉めていると報道されていたし、原発の敷地内に汚染水なのか処理水なのかはっきりしない水を貯めたタンクが林立していて、それが限界に近づいていることもみんな知っている。今でも復興していないし、アンダー・コントロールでもない。
招致が決定した瞬間に全身で喜びを表現していた太田優貴くんに象徴されるメンバーたちが「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」のメンバーに入っていなかったのを知った時、私は「ああ、美味しいところは自分たちで独占するんだなぁ」と汚らしい舞台裏を見た。しかし、最後まで独占することはできず、責任者の首のすげ替えが(彼らにとって)最初の不吉なハプニングとなり、その後の連鎖につながったことは誰もが知っているところ。
バブル方式の失敗は、その名前を聞いた時からわかっていた。歴史が示しているように、バブルは弾けるものなのだ。ずいぶん前になるが、海外から帰ってきた知人が「空港の検疫で、公共交通機関を使って移動してはいけない、と言われた際に『私はレンタカーを手配しています』と言って空港から出てきたが、大半の人は『歩いて帰ります』と言って空港から出ていた。空港検疫なんて、あってないようなもの」というのを聞き、「水際作戦」の実態を知った。
ずっと茶番劇が続いているところに、コロナが追い討ちをかけた。しかし、これ以上書いても詮ないこと。その代わりに、安倍晋三・菅義偉がグチャグチャにしたこの国のことを「真面目に」考え直す機会になったNHK・BS1の番組を紹介しておきたい。私は本当にたまたま見たのだが、明後日再放送されるとのことなので、時間があれば(目が覚めれば)ぜひ見て欲しい。(7月22日(木)午前7時10分から)
「コロナ新時代への提言3 それでも、生きてゆける社会へ」NHKのHPには次のように紹介されている。
コロナ後の世界の指針を語る大反響シリーズ第3弾。著作が注目を集める3人の識者、独立研究者・山口周、経済思想家・斎藤幸平、医療人類学者・磯野真穂が描く未来とは? 「ビジネスは歴史的使命を終えた」と語る独立研究者・山口周。持続可能な脱成長を説いた著書『人新世の「資本論」』が話題の経済思想家・斎藤幸平。医療従事者や患者への丹念な調査から「人間とは何か」を問う医療人類学者・磯野真穂。コロナ禍を受け、彼らは一冊の本を手に取った。ミヒャエル・エンデの児童文学『モモ』。現代社会を鋭く批評したこの作品をヒントに人類が向かうべき未来、誰もが生きるに値する社会について語る。
私は3人とも存じ上げなかったが、一言一句も聞き逃すまいという姿勢で見終わったら、子供の頃からずっと頭の片隅に引っかかっていた疑問に一つの解を得たような満足感が脳細胞の隅々まで心地よく行き渡った。