京都の名匠 岡田久広 京都観世会余話
今月のブログで観世会館のことを3回書いた。最初のブログで「緑庵の岡田くんからチケットをもらっていたので、観世会館に出かけた」と書いたものの、岡田くんのめでたい話には触れなかったので、今日は、その岡田くんのめでたい話のことを書いておこう。
実は、1月4日に岡田くんから届いたショートメールに「これは自慢になりますが、昨年末京都の名匠を受賞しました」とあった。私だったら、すぐさま家族・親戚・友人・知人に知らせ回るところ、おくゆかしい岡田くんのこと、さりげなく書くに留めていた。京都にはしょっちゅう出て行くし、ウエッブ版の京都新聞もざっと読んでいるが、「京都の名匠」なるものを目にした記憶がない。自宅でとっている新聞の滋賀版でも目にした記憶がない。
しかし、今は便利。すぐにググったところ、見つけることができた。
まさに「この道一筋」のお手本のよう。この説明の中で特に「激しく同意」するのは「現在では希少かつ高価な30年物の本蕨粉や葛粉など天然由来の原料の取扱にも聖梅雨しており、昔から伝わる本物の材料を使用した伝統的なお菓子作りを大切にしている」という説明の文章。岡田くんの作る蕨餅や葛餅は、本当に美味しいのだ。
ロンドンの市内を歩くと様々なパブに出会うことができるのと同じように、京都を歩くといろいろな和菓子屋さんを見かける。『&Premium』の3月号に「&Kyoto 鞍馬口』という特集が掲載されている。この中で「長栄軒」という和菓子屋さんが紹介されているが、この地域で生まれ育った私には馴染みの饅頭屋さん。娘さんは同級生だった。近くには「親玉堂」という饅頭屋さんがあり、自転車に乗ってちょっと足を伸ばせば「俵屋吉富」「鶴屋吉信」それに「とらや」があって、TPOにあわせてお使いに行ったことを思い出す。上皇様の結婚式のパレードの日に、うちのテレビを見にきた祖父母に出すために俵屋に雲龍を買いに行ったとき、渡された500円札を落としてしまってひどく叱られたことを今でも思い出す。この一番の晴れの日の甘いものは雲龍だったのだ。
今の世の中は手軽なものが好まれる嫌いがあるが、本物は本当に本物。観世会館で観た能狂言に感動したのは、本物だったからだろう。あのチケットをくれた岡田くんの作る甘いものが本当に本物だったということに、お煎茶で「乾杯!」