アメリカの民主党大会の生中継

大学には午後から出社するので、さっきからCNNでアメリカ民主党の党大会を見ている。今はヒラリー・クリントンが「全体の得票数が相手を上回っても選挙には負けることがある!(自分のこと)ので、みんな投票に行って欲しい」と真剣に話しかけている。彼女の前は、不法移民の母親を連行して行ったトランプ大統領に対して「アメリカ人は先住民(そう言えば我々の世代は何の疑いもなく「インディアン」と呼んでいた)以外全て移民だ!母を返せ!」と一人の少女が訴えていた。カマラ・ハリスの演説は私が家を出てかららしい。

日本にいながらアメリカの民主党の党大会をリアルタイムで見られるなんて、中学2年生の時にアメリカからの初めてのTVの宇宙中継を固唾を飲んで待っていたら「悲しいお知らせです。ケネディ大統領が暗殺されました」で中継が始まったという劇的な経験をした私にとっては、夢のよう。夢のような世の中になったなぁと感慨深く思うと同時に、どれだけの日本人が今この番組を見ているのだろうと、ちょっと気になった。

と言うのは、日本では与党であろうと野党であろうと、その党大会がTVで生中継されることはないので、私も含めてほとんどの日本人が政党の党大会でどのような演説が行われているのかや、選挙のマニフェスト(もはや死語!)は何なのかについて知らないし、ニュースでもほとんど報道されることはない。しかし、仮に党大会が生中継されたとしても、それを見ようという「物好き」がどれだけいるだろうかとも思う。

イギリスに住んでいると、TVで保守党と労働党の党大会は長時間にわたって生中継されるので、党大会はイギリス人にとって非常に身近な存在なのだ。党大会はブラックプールやブライトンのような保養地で開催されることが多く、党員が党大会をお祭り騒ぎで楽しんでいることが画面からもよく分かる。イギリス議会での討論も面白い。Amazonプライムで見ることのできるイギリス版「ハウスオブカード 」でカリカチュア的に描かれているが、大きなテーブルを挟んで与野党が向かい合って議長の指名で丁々発止の質疑応答を続ける。議長の「オーダー。オーダー(ご静粛に!)」の大声をかき消すくらいの野次が飛び交い、見ていて飽きないのだ。

それに対して、日本の国会での質疑応答はちっとも面白くない。前もって通告された質問にしか答えないし、仮定の質問にも答えない。おまけに、このコロナ騒動の真っ最中でも国会は閉じたまま。国と地方自治体の溝は埋まらないまま。タレントや評論家や知識人と思しき人たちが持論を展開するばかり。

アベマTVで生中継をしている藤井2冠予定者の勝負を見た方がストレスがたまらない、のだよね。